Twitterより転載(2012-08-03)

  1. プナン族まとめ。ボルネオ島に住む狩猟採集民族の総称。形質的にはボルネオの土着農耕民族(ダヤク族)と同質。イプロトマレー系に属し、言語はオーストロネシア語族の西オーストロネシア諸語に属する。全人口は 3000人足らずと推定される(1952年に2600人余を確認)。
  2. プナン族まとめ(生計)。狩猟採集民族と定義されるが、一部は定着して陸稲栽培を始めている。より最近の報告では現在ではほとんどの人々が定住もしくは半定住して農業も営んでいる。厳密には、狩猟採集から複合的な生業形態へ移行中の社会と言える。
  3. プナン族(狩猟採集)。15〜75人の小家族集団ででキャンプをつくり,動物を吹矢と槍によって狩猟するほか,果実,野生サゴなど植物性食物を採取する。行動域は原生林地帯に広がるが、焼畑民ダヤク族の集落につながる地域に限られる。一定の領域内を歩き他集団の領域へは許可なしには立入らない。
  4. プナン(他民族との関係)。プナン族は隣接する農耕民と経済的に深いつながりをもつだけでなく、文化的、言語的にも相当の類似性をもっている。他方、農耕民はプナンを動物のようにみていたという報告もある。2007年にカヤン族の村を訪問した際には、プナンへの蔑みを感じさせる発言もあった。
  5. プナン(社会)。小家族集団(バンド)には首長がいるが、地位は世襲でなく、権限も限られている。階級分化はなく、バンド間を結ぶ組織も存在しない。親族は双系的だが、父の名を継ぎ、父方の系譜がより詳しく想起される。結婚に婚資 (吹き矢,槍など) を支払い,集団内の婚姻が好まれる。
  6. 1989年のあるプナン集落(井上真「熱帯林の生活」)「ずるずると商人の儲けの糧にされて物質文明に侵され、自らのアイデンティティーを失っていく(中略)一見すると昔と変わらぬように一年の大部分を森林の中で生活してはいるが、実は決められた時期になると集落へ出ていかねばならない債務奴隷」
  7. プナン(森林伐採反対運動)。1989年、サラワク州東部のプナン族が、森林伐採によって居住地を失うことに抗議して道路封鎖を行い、国際世論のサラワク州への非難が集中した。同時に最大の熱帯材輸入国である日本への非難も高まった。
  8. 「プナンにとっては、(森林は)その構成要素である地形や動植物をはっきり認識しているという意味で具体的であり、そこから必要な者を得るための知識を持っているという意味で勝手知ったる生活の場なのだ。」(小泉・服部 2010)

Powered by t2b